柳沢鉱泉(清水屋):栃木県) '12.11月

林に囲まれた湯治宿 清水屋 温泉成分で赤茶色に染まった湯船 表面にはカルシウムの幕が張る
湯船は一つなので混浴か貸切 隣室にあるもう一つの湯船 入浴後は女将さんと湯治談議

那須郡那須町大字高久乙1894 ☎0287-78-0703  icon088ie.gif  (9:00-17:00営業時間内 350円)

今さらですが、那須の別荘地帯にこんなに古くからある隠れ湯(秘湯)があったとは、、、知りませんでした。
柳沢鉱泉「清水屋」は那須湯本温泉からさほど離れていない「那須ハイランドパーク」の南側にある広大な別荘地帯の隅っこにある冷鉱泉の湯治宿です。
開湯明治25年と言うから、この表現は正しくは、「歴史ある鉱泉宿に隣接して別荘地帯が造られた」という表現が正しいのでしょう。
自家用車も無い頃は、国鉄の駅からバスに揺られ、さらに原野の一本道を歩いて湯治客がやって来たそうな。
高度経済成長の頃、別荘ブームが始まると、その家族たちが訪れるようになり、やがて世代が変わるにつれ訪ねてくる客もめっきり減ったとか、、、。(入浴後に炬燵でお茶をごちそうになりながらの女将さん、、、談)

車道が那須ハイランドパーク方面からしかないので、車で訪ねるにはどうしてもこの別荘地帯の複雑な道を右へ左へと行かねばたどり着けません。
近づくと所々にとても小さな手造りの看板がありましが、初めて行く時はカーナビが無ければ一発で到着するのは至難の業でしょう。   実際、私も別荘地帯を走っている内に、ナビを頼りにするも、正しい方向に向かっているのか全く分かりませんでした。

歴史を感じさせる家庭的なこぢんまりしたお宿ですが、掃除は行き届いていて、湯治用の客室もいつお客さんがいらしても大丈夫といった感じです。
冷鉱泉を特殊な装置を使い温めるので、宿泊はもちろんですが、立ち寄りの際にもあらかじめ電話で連絡しておくとよいでしょう。
私達が到着すると、女将さんが出迎えてくれ、浴場に案内してくれました。
浴場は2つあるのですが、通常は1つしか湯を張っていないそうです。
あらかじめ連絡しておいたので、ちょっと熱めの温度に加温された赤茶色した湯が湯船に満ち満ちと張られていました。
洗い場には温泉成分の析出物が美しい模様を形成し、もうこれを見ただけで心はワクワクしてきます。
湯船の表面にはカルシウム成分の結晶がまるで流氷のように浮かんでいます。     湯を張って朝一番の入浴だと湯の表面はまるで膜を張ったかのような状態なのだそうですが、今回「流氷」だったのは、たぶん女将さんが気を利かしてお湯をかき混ぜてくれたのではないかと思います。

茶色に濁った湯に身体を沈めると、湯船の淵に付いたザラザラの温泉成分が背中に当たってチクチクしますが、これがまたこんな温泉ならではの事でたまらないんだな~。
女将さんが気を利かして熱めの湯に湧かしておいてくれたのだろうけれど、チョット長湯するには熱いので、温泉マニアとしては邪道だけれど水で薄めようと湯船の蛇口をひねった。
ところでこの温泉の源泉湯口はどこだろうと探したがそれらしきものは見当たらない。   ひょっとして今投入を開始したこの蛇口からほとばしる透明の液体が源泉?   口に含んでみると、温泉成分を含んだ炭酸水のようだ。
結果私達は源泉100%のまま湯の温度を下げる事に成功し、長湯を楽しむ事が出来た。

湯口が冷鉱泉ならば、どうやって湯を沸かすのか気になって湯船をまさぐってみたら、湯船の一方側にらせん状になったパイプが取り付けられていて、このパイプを温める事により冷鉱泉を温めているようです。

入浴後、女将さんが玄関脇の炬燵のある部屋に招き入れてくれ、お茶をごちそうになりながら宿の事などあれこれお話を伺いました。
昔は湯治客が主だったため、浴場は混浴が当たり前、でも最近は立ち寄り入浴が増えたため、先客がいる場合は後から来たお客さんに待ってもらうようにしているんだとの事。
でも、基本は混浴だからお客さん同志が納得の上だったらそれは全然構わないとの事。
前述しましたが、昔の事、などなどいろいろお話を伺いました。

静けさを求めて湯治風情を味わいたい時にはこんな温泉もいいと思います。

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