小谷温泉(大湯元 山田旅館):長野県) '13.10月

雨飾山の中腹に湧く秘湯 鄙びた湯治場の雰囲気が残っている 温泉成分で染まった湯船
寝湯や打たせ湯もある 温泉談義で盛り上がっていた浴場 大木の様な打たせ湯の温泉析出物

北安曇郡小谷村中土18836 ☎0261-85-1221  icon088ie.gif  (9:00-15:00 500円)

雨飾山の山麓に湧く小谷温泉の大湯元「山田旅館」は、江戸時代に建てられた本館が国の登録有形文化財に指定されるなど、400年以上の歴史を有する湯治宿です。

時代ごとに増築された6棟の木造建屋はひとつの温泉街の様でもあり、昔ながらの湯治場の雰囲気がそのまま残っています。
浴槽に掛け流されている源泉は、浴場のすぐ裏手に自然湧出しているもので、新鮮この上ないものであります。

玄関に入ると土間があり、外観のみならず内装も古民家そのものでまさに文化財そのものと言った感じです。
帳場と呼んだ方がふさわしいフロントで受付を済ませ、手入れの行き届いた廊下を進むと浴場があるのですが、その脱衣所入り口にすら風格が感じられます。

浴場の戸を開けると、浴槽に掛け流された打たせ湯の投入音の中、年配の湯治客が大きな声で会話を楽しんでいました。
温泉成分で湯船と床は赤く染まり、その濃さが伺えます。
源泉を飲用可能で、胃腸病や糖尿病に良いそうです。   浴場の色からわかるように、お味の方は鉄系で甘みと若干のしょっぱさが感じられる癖のあるものでした。

石造りの湯船には湯が飛び散らないようにボックス型になった打たせ湯と枕状の石がしつらえられた寝湯があります。
湯船に浸かって熱くなったら、この寝湯で横になり桶に湯を汲んで体の上面に掛ける、、、こんな湯治風景私が子供の頃はたびたび目にしたものですが、近年余り見かけなくなったな~。
そんなことを考えながら、打たせ湯の投入音と湯治客の会話をBGMに目を閉じると、自分も山奥の温泉で時間をつぶす湯治客のひとりになってしまったようなのんびりとした気分になるんだな~。

洗い場の横に丸太のように年輪のような模様のついた、こげ茶色した石のオブジェが置かれていています。   一見、丸太のベンチか温泉につき物の子宝信仰の男根かと思いましたが、実はこれ25年掛けて成長した打たせ湯の湯口に出来た温泉析出物なのだそうです。

周辺に商店や飲食店はおろか、集落も無い自然真っ只中の温泉地ですが、昔ながらの湯治気分が味わいたい方にはぜひお勧めのお宿です。

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