利根郡みなかみ町永井650 рO278−66−0005 (10:30-13:30 800円)
かつてJRがまだ国鉄と呼ばれていた頃、フルムーンのポスターの撮影地に起用され一躍有名になった一軒宿の秘湯です。 明治時代に建築されたという鄙びた宿は、もうそれだけで旅人の心をくすぐります。 また、温泉好きにとって浴槽の足もとから自然湧出する温泉と個性的な湯屋は垂涎ものでしょう。
日帰り入浴は10時半から13時半までという短時間に入浴客が集中するため、土日などは入浴制限をするほど込み合うらしい。 そんな状態では女性はなかなか入浴し辛いだろう。 その分お泊りの場合は女性専用時間もあり、のんびりと法師乃湯に入浴する事も出来るでしょう。
私が訪ねたのは平日でしたが次から次に入浴者が訪れ、あっという間に混浴の法師乃湯は男性で一杯になってしまいました。 「有名な温泉だから混浴でも入る」と脱衣所までは来た妻でしたが、中を覗いて男性ばかりこちらを向いて大勢入浴している情景を目にすると「やっぱダメだ」と言いだし「女湯で一緒に入る人がいたら法師乃湯に入りに来る」と言い残して妻は女性専用の長寿乃湯に行ってしまいました。
というわけで、「これじゃ悪循環だよな〜」と思いつつも、私も男一人で混浴の法師乃湯に入浴する事となりました。
ガラッと浴場の戸を開けると、なんとも言えないレトロな薄暗い空間が広がっていました。 脱衣所方向を向いて入浴している人が多く、戸を開けると同時にいっせいに先客と目が合ってしまいます。 湯気でかすんでいるわけでもないし、これじゃ女性は厳しいよね。 やっぱり妻は女湯に行って正解だったかな?
浴場は歴史を感じさせる和洋折衷の木造建築で、大きな浴槽を挟んで両サイドにかつて使われていた脱衣棚があります。 ふと天井を見上げると太い丸太の梁ががっしり組まれ、旧仮名遣いで効能書きの書かれた板が掲げられています。
大きな木製の浴槽は田の字に4つ並んでいて、木枕と呼ばれる丸太でそれぞれ2つに仕切られています。 この木枕に頭を乗せて入浴すると、半々の確率で脱衣所方向を向いて入浴するようになってしまうのだ。 私も妻が来た時に私の顔が分からないと困るだろうと、脱衣所を向いて入浴する事となったのでした。 この時になってはじめて脱衣所に向いて入っている理由がわかりました。 先客の皆さん、変な想像してしまってすみません。
浴槽の下は天然の玉石が敷き詰められていて、所々に椅子のように平たい岩が置かれています。 この浴槽の底から源泉が自然湧出していて、空気に触れることなく新鮮な温泉を味わう事が出来るという事です。 浴槽によって温度差があるので、あちらこちら入るのもいいでしょう。 私は温めの浴槽で1時間以上も入浴していたので、上がる際には熱めの浴槽で温まってから出ました。
私が入浴してからも、何度か女性が脱衣所から覗いては帰っていかれました。 数十分しても妻がやって来ないので「誰も連れが見つからなかったんだな〜」なんて思っていると急に女性脱衣場が賑やかになった。 しばらくすると数人の女性と共に妻もやってきた。 女風呂で「法師乃湯に入りたいけれど男ばかりで入れないよね」と言う話で盛り上がった有志数人が「それなら皆で行こう」と盛り上がりやって来たそうだ。 女性はそれぞれの連れあいの元に散って行ったが、今まで会話一つなくシーンとしていた浴場が一気に賑やかになったのは言うまでもない。 この状態だと女性も入りやすくなったらしく、その後数組のごカップルもやってきた。 混浴の温泉はやっぱこうでなくっちゃね。
また何度も訪れたい温泉のひとつとなりました。 |